池田信夫氏

朝日新聞という亡霊

 (2007-03-13)  

 専門とは関係のない慰安婦問題に首を突っ込むのは気が進まなかったが、膨大なコメント
(しかも驚いたことにノイズがほとんどない)をいただいて感じたのは、「慰安婦問題」なんて
最初からなくて、これは無から有を作り出した朝日新聞問題なのだということだった。
    (中略)
 これは「あるある」をはるかに上回るスケールの、戦後最大級の歴史の捏造である。
 しかも朝日のでっち上げを河野談話が追認したため、これが世界のメディアの「常識」に
なってしまい、NYTもワシントンポストも「慰安婦=強制連行=20万人」というのが「歴史家の
定説だ」と書いている。韓国では、吉田証言や慰安婦=女子挺身隊という話が今でも教科書
に載っている。朝日の捏造した歴史が、アジア諸国との関係を悪化させる原因になって
いるのだ。
 私の友人には、朝日の記者もたくさんいるが、彼らは今の50代以上の幹部についてはあき
らめている。「あの人たちの世代の生き甲斐は、反戦・平和の正義を世に広めることだった
から」という。この意味で朝日は、社会主義をいまだに信じる冷戦の亡霊なのである。ただ、
今のデスク級はもう世代交代しているので、現場はこの種のキャンペーンには冷淡だ。今回の
慰安婦騒ぎでも、不気味なぐらい朝日は沈黙を守っている。そりゃそうだろう。口を開けば、
吉田証言や女子挺身隊などの捏造問題を検証せざるをえないからだ。
 だから慰安婦問題を徹底的に解明し、宮沢氏や河野氏を国会に呼んで経緯を明らかにする
とともに、騒ぎを作り出した朝日新聞の責任も追及すべきだ。それが過去の戦争や冷戦の
亡霊と決別し、日本がアジアとの成熟した友好関係を築く第一歩である。

  • 最終更新:2013-03-11 21:41:39

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